何だろう? 科学の広場

   科学Q&A

Q25.

自転車に手押しの空気入れ(ポンプ)で空気を入れるとき、空気入れの筒が熱くなるのはなぜですか? (07/12/19)

A25.

手押しのポンプで空気を入れるには、ポンプの筒の中のピストンを押し下げて中の空気を圧縮し、その圧力で空気をタイヤのチューブに押し込みます。そのとき圧縮された空気の中に熱がでます。ピストンの押し下げ方が急だと、その熱は外に逃げるひまがないので、筒の中に一時こもり、筒も熱くなるのです。では、なぜ空気が圧縮されると熱が出るのでしょう?
筒の中では、たくさんの空気の分子が自由に飛び回っています。その一つ一つの分子の運動のエネルギーの平均値が空気全体の温度に比例し、その総和が空気がもつ熱エネルギーです。また、たくさんの分子が筒の壁やピストンに衝突して絶えずそれらに力を加えています。壁の1平方センチあたりに働くこの力が空気の圧力です。ピストンで空気を圧縮するときに力が要るのはこの空気の圧力に勝たねばならないからです。
さて、空気が圧縮されればされるほど空気の分子は,狭いところに押し込められるわけですから,運動が激しくなります。運動が激しくなるほど分子の運動のエネルギーが増えますから、空気の温度が上がります。これが空気入れの筒が熱くなる理由です。空気の熱エネルギーも圧縮するとき 使われたエネルギーと同じ量だけ増えます 。そのままほっておくと熱は筒の壁を伝って外に逃げてゆき、筒の中の空気はその分だけ熱エネルギーを失い、温度が下がってゆきます。もしピストンの押し下げ方が非常にゆっくりだと、熱は出来るはじから外に逃げてしまうので、筒はほとんど熱くならないでしょう。(編集部)

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Q24.

ラウリル硫酸Naについて体にはあまり良くないことは分かったのですが、お店の人に聞いたら植物由来のものだから害はないと言われました。ラウリル硫酸Naの中にも良いものと良くない物があるのでしょうか? 教えてください。 (07/03/02)

A24.

結論から言いますと、コレステロールの悪玉と善玉のような違いはラウリル硫酸Naにはありません。ラウリル硫酸Naは世の中でただ一種類しか存在しない、ということです。このことを少し詳しく考えてみます。

世間では次のような考えの人が結構おられるようです。
(1)植物成分のような自然のもの(天然物)には有害なものはないが、人がつくったもの(化学合成品)には害になるものがある。
(2)同じものでも、天然物と化学合成品は全く同じとはいえない。(同じものという言葉は、正確な意味ではつかわれてない場合も多いのですが、ここでは議論しません)
(3)天然物由来のものは害がない。(天然物由来といういい方も問題があると思いますが、ここでは植物など自然の物を原料として化学合成したもの、という意味にとっておきます)

残念ながら、これらの考えは全て正しくありません。
(1)についていいますと、天然物にも化学合成品にも生物に対して有害なものもあれば役に立つものもあります。ほとんど毒にも薬にもならないものもあります。漢方も使い方次第で薬にも毒にもなるのです。

(2)について、たとえば、お酒の成分のエチルアルコールは、でん粉、糖などの炭水化物(植物由来)の発酵(酵母という生命体による)か、エチレンやアセチレンなどの水添、酸化などの化学工業的方法でつくられます。できたエチルアルコールはC2H5OHという化学式を持つ物質です。違う製法でつくられた、化学的性質が同じである純粋な物質は同じものであり、神様といえども見分けはつきません。
ただし発酵と化学合成でつくられたエチルアルコール製品に生体に対する生理反応(たとえば、お酒として飲んだときの酔い方、悪酔いのしかた、など)に違いがある場合があります。理由は簡単です。発酵と化学合成でそれぞれ違う副産物(1種類ではありません)が生成し(当然の話ですが)、精製の段階で完全に除去されずに残った副産物「微量な不純物」がそれぞれ違った生理反応を示すからです。(参考までにいいますと、いま流行のバイオエタノールは、安価なトウモロコシでん粉の発酵でつくるエタノールのことで、特別なものではありません)。

(3)については後で述べます。

さて、ラウリル硫酸Naはラウリル酸からつくられますが、ラウリル酸はココナツ油などの植物油(天然物)から分離します。その後は人の手によって一連の操作(合成化学的手段)でラウリル硫酸Naが製造されます(ラウリル硫酸を還元してラウリルアルコールにし、次いで硫酸エステル(ラウリル硫酸)に導き、中和してNa塩、すなわちラウリル硫酸Naとする)。

質問者はお店の方から「ラウリル硫酸Naが植物由来のものだから害はない」という説明を受けられました。この言い方が正しくないことはもうお分かりですね。たとえラウリル酸に(ほとんど)毒性がなくても、これを合成化学的に変換してつくったラウリル硫酸Naはラウリル酸とは別物ですので、害があるかないかは研究してみて初めてわかることなのです。米という植物のでん粉を発酵させて造ったお酒もほどほどに飲まなければ体に悪い作用を示します。ですから、「ラウリル硫酸Naが植物由来のものだから害はない」、つまり原料が植物油だから無害である、といういい方は理論的に正しくありませんね。これが(3)についての説明です。

<まとめ> ラウリル硫酸Naという名前の化学物質(化合物)は、世の中には一種類しかありません。もともとの原料はココナツ油(植物油)から取り出すラウリル酸ですが、化学工場で数段階を経て合成され、人にとって有用な、しかし使い方には注意しないと悪い作用もあらわす化学物質です。(野田浩司:「科学の公園」をつくる会 会員、専門:薬学)

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Q23.

コイルに電流を流すと、なぜ磁石になるのですか? 本を何冊か読んでみたんですが、コイルを使ってモーターを作ったりとか、コイルの巻き数によって磁力が違う話は書いてあったんですが、電流を流すことでどうして磁力を生ずるのかは書いてないんですが・・・。誰か教えてください。 (06/09/04)

A23.

導線に電流を流すとその周りに磁場がでます。導線がどんな形をしていても、電流が時間的に変化してもしなくてもかまいません。時間的に変化しない「定常電流」を流せば、時間的に変化しない「定常磁界」ができます。

コイルは導線の一種ですから、それに電流を流せば磁界ができます。それが丁度棒磁石(永久磁石)の回りの磁界と同じ様なので、「コイルに電流を流すと磁石になる」というわけです。

さて、問題は「なぜ導線に電流を流すとその周りに磁場ができるか?」です。この問題は実は「なぜニュートンの運動法則は成り立つか?」とか「なぜ電子には電荷があるか?」とか「なぜ物には質量があるか?」とか「万有引力はなぜあるか?」などと同類の非常に基礎的な問題で、それらと同様に、答えるのは非常に困難です。普通、「あることがなぜ起こるか?」という問いに答えるには、そのことの「原因」と「仕組み」を説明します。しかし、その 「原因」となることが「なぜ起こるか?」と聞かれればさらにその「原因」を言わなくてはなりません。これを続けて行くと、それ以上は(すくなくとも現在の科学の知識では)答えられない「基礎的な」問題に突き当たります。「なぜ導線に電流を流すと磁場ができるのか?」は実はその種類の基礎的な問題の一つです。ですから、一口で答えるとすれば「自然界がその様にできているからだ。」としか言いようがありません。

電磁気現象のすべてを支配しているのは有名な一組のマクスウェルの方程式です。その方程式の一つが「電流を流すとその周りに磁場ができる。」ということを式で表したものに他なりません。ですからこの問いは、あえていうなら、「マクスウェルの電磁気学はなぜ成り立つのか?」という問いになります。それは「ニュートンの力学はなぜ成り立つのか?」という問いと同類の非常に基礎的な問題です。

付け加えると、電気と磁気が別々の現象ではなく、電磁気という一つの現象の表れであることは19世紀になってわかったことで、それが「電磁場」という概念で統一的に記述できることはファラデーやマクスウェルがはじめて明らかにしたものです。ですから最初に「導線に電流を流すとその周りに磁場がでます。」といったのは実はそのような歴史があってはじめてできることでした。

基礎的な問題を「自然界がその様にできているからだ。」といって放っておいたのでは科学は進歩しません。科学は「なぜ?」に対する答えを探し続けます。その努力の中で自然のより深い理解が進むのです。例えば「なぜ物質には質量があるのか?」や「なぜ世の中には周期律表に載っている様々な元素があるのか?」などはそれぞれ今の物理学、天文学の最先端の研究課題の一つです。それらが解決されると、またその次の「なぜ」が待っており、それらがまた科学者達の研究課題となるでしょう。(編集部)

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Q22.

元素の周期表は現在のもので完成でしょうか? もう他に新しい元素はないのでしょうか? (短大生)(06/01/24)

A22.

 現在、普通に目にする「元素の周期律表」には、原子番号103番の元素のローレンシウム(Lr)までしか載っていないものが多いようですが、世界の学会で正式に承認された元素は、原子番号111番のレントゲニウム(Rg)まであります。104番はラザホージウム(Rf)、105番はドブニウム (Db)、106番はシーボーギウム(Sg)、107番はボーリウム(Bh)、 108番はハッシウム(Hs)、109番はマイトネリウム(Mt)、110番はダルムスタチウム(Ds)です。天然に存在する元素は92番元素のウラニウム(U)までです。それより先のもっと重い元素は、原子炉の中でできたり、大型の実験装置を使って人工的に合成されてきました。104番の元素以降は、特に「超重元素」と呼ばれています。

 新元素の探索・発見(つまり人工的に作ること)は、「元素は何番まで存在するか」という自然科学の基本的な問いに答えることであり、また、物理学や化学の最新の研究内容にも密接に関連しています。このため、「新元素の発見」は、いつまでも研究者を惹きつける魅力的な課題の1つとなっており、アメリカやロシアやドイツの研究所において、新元素の人工合成のための実験が競い合って行われて来ました。最近では、日本の理化学研究所(埼玉県)もこの世界的競争に加わっています。

 新しい元素(超重元素)を作るためには、既に見つかっている2種類の重い元素の組み合わせをうまく選んで、両者を大型の粒子加速器を使って高速度で衝突させます。両者がうまく融合すると、新しい超重元素ができる可能性があります。しかし、合成される元素の番号が大きくなる(重くなる)につれて、この可能性は急速に小さくなります。しかも、いったん融合して新元素ができても、すぐ(1秒以下から数分程度で)アルファ粒子や中性子などの放射線を次々出して、より小さい既知の元素へと崩壊して行ってしまいます。従って、新元素が確かにできたかどうかの判定も非常に難しくなります。

 超重元素は、作られたとしても、普通の元素のように「現物を目の前に示す」ことができるわけではなく、大型粒子加速器を連続運転して1ヶ月に原子1個ができるかどうか(できてもすぐ崩壊する)、という極度に稀な現象なのです。従って、新元素ができた「証拠」は、実験データと発表論文の中にしかないのですが、原理的には、また同じ実験をやれば同じものを作ることができるはずです。

 新種の元素を作った(発見した)という学会発表論文を審査して正式に新元素として承認し、その元素の名称と元素記号を決定するのは、化学と物理学の学会の国際組織です(国際純正・応用化学連合と国際純正・応用物理学連合の合議による)。ただし、新元素が承認されたら、発見したグループが新元素の名称や元素記号を提案することができます。

 112番から118番までの新元素の「発見」が学会にしばしば報告されて来ましたが、その証拠が不十分のためか、まだ新元素として承認されたものはありません。しかし、最近(2004−2005年)、理化学研究所が発見した113番元素は、その証拠がしっかりしたものであり、近いうちに新元素としての承認が受けられる可能性が高く、大いに期待されています。そうなれば、初めて日本人が命名した元素が登場することになるので、大変楽しみです。(編集部)

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Q21.

太陽は色々な波長の電磁波を出していますが、地球は何も出していないのですか? (短大生)(05/10/27)
(このQ&Aの資料は千葉経済大短期大学部の井芹先生から提供して頂きました。)

A21.

 A20に書いたように、地球も熱を放射しています。それは主に赤外線となって宇宙に向かって出てゆきます。赤外線は目に見える光より波長の長い電磁波で、目には見えません。しかし、赤外線カメラを使えば写真に撮ることが出来ます。気象衛星はそれを使って夜でも雲を写しています。
 どんな物からも、「熱放射」という、その温度に見合った波長の電磁波が出ています。電気ヒーターのように熱いものが出す赤い光は熱放射です。しかし、実は南極の氷のように冷たいものからも熱放射は出ています。
 熱放射は色々な波長の電磁波を含んでいますが、温度が高くなるほど短い波長の電磁波が強く出ます。太陽の表面の温度は約摂氏5500度で、目に見える光(可視光線といいます)を一番強く出していますが、地球の表面の温度は平均約摂氏15度ですからそれよりずっと長い波長の赤外線が一番強く出ているのです。
 地球からは熱放射のほかに人間の活動に伴って、都市の明かりや電波が放出されているのは言うまでもありません。(編集部)

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