10.土星の惑星タイタンにメタンの湖がある。(07/01/14)
土星の一番大きい惑星タイタンの北半球に直径が3乃至70kmのメタンの湖が沢山あるとアメリカとヨーロッパの惑星科学者が言っています。
タイタンの大気はほとんど窒素ですが少量(約1.6%)のメタンもあります。大気中のメタンは日光によってとうに破壊されているはずなので、このメタンはどこかから供給されていると考えられます。表面のどこにもメタンの析出している証拠はないので、それは地下から出てきているのだと思われてきました。ところが、ロンドン大学University CollegeのEllen Stofanがアメリカとヨーロッパの人たちとNASAのカッシーニ-ハイゲンス探査のレーダーのデータを注意深く分析した結果、タイタンの北半球に沢山ある黒い斑点は実はメタンの湖だということを確かめました(Nature 445 61)。彼らによると、湖のメタンは「地下水(メタン)だまり」から供給されているものもあるが、川と雨で供給されているものもあり、惑星表面にメタンがあることは確かで、多分、(地球の水の循環と同じような)連続的なメタン循環があって大気の中のメタンの量が保たれているのだろうということです。
ただし、フランスのナント大学のChristophe Sotin氏は「黒い斑点を覆っている物質が何であるかが大問題だ。」といっています。
出典:http://physicsweb.org/article/news/11/1/2より。
9.大量の水素を吸蔵する物質(06/09/04)
水素を使った燃料電池を実用化するには小さな体積に大量の水素を吸蔵することができる物質が肝要です。そのような物質として今まではカーボン・ナノチューブのようなナノ・メートルのスケールの構造をもった物質が注目されてきました(Phys. Rev. Lett. 94, 155504; Phys. Rev. Lett. 94, 17501)。しかし、どれも低温や高圧でしか働きませんでした。
ところが、ソウル大学のジスーン・イーム(Jisoon Ihm)達が理論的な計算によって、ある種のアセチレンの重合体(ポリアセチレン) にチタニウムが付いた物質が1立方メートルあたり 63kg もの水素を吸蔵できることを予言しました (Phys. Rev. Lett. 97, 056104)。この値はアメリカのエネルギー省が 2010 年までの達成目標としている 45kg を超えています。
この物質は、図に示すような、炭素原子(緑色の球)同士が1重結合と2重結合を交互に繰り返す鎖になっていて、その各炭素原子にひとつのチタニウムの原子(青色の球)が付いた構造になっています。外から水素を入れるとその水素分子(赤色の球2個分)をチタニウム原子が引き寄せて、彼らの計算によればひとつのチタニウム原子あたり最大5個まで吸い付けることができます。その結果この様に大量の水素を吸蔵することができるというのです。
彼らは「この結果は水素を吸蔵するための金属原子が付いたポリマーを合成するのに重要です。今、他の研究者と一緒にそのようなポリマーを作ることを始めており、水素が貯まる量を測定しているところです」と言っています。
出典:http://physicsweb.org/article/news/10/8/15より (Copyright©IOP Publishing Ltd. 1996-2006)。
8.強いハリケーンと大洋の海面の温度との関係(06/06/30)
最近の25年間、ハリケーン(北米を襲う暴風雨)の強さが段々強くなってきています。特に,2005年はひどいハリケーンの数が記録的に多かった年です。アメリカ南部のニュー・オルリーンズを襲ったハリケーン“カタリナ”だけでも1300人が命を失い、10億ドル以上の損害が出ました。
ある研究者たちは,海水の表面の温度が高くなったことが暴風が非常に強くなったことと関係がある、といっています。実際、ハリケーンが発生するには海面の温度が摂氏26度以上でなければなりません。しかし、ハリケーンが強くなるにはそれだけではなく、他のもの、例えば湿度や風の様子なども影響するという人もいます。
アメリカのジョージア工科大学のCarlos Hoyos達はこの問題を解決するために、1970年から2004年までに人工衛星で観測された北大西洋、東・西・南太平洋、南・北インド洋での海面の温度、低層大気の湿度、風の様子など、いろいろな気候条件のデータを使って、それらと強い(カテゴリー4と5の)ハリケーンの頻度の間の関係を、情報理論を使って、詳しく分析しました。その結果分かったことは、1970年以来、明らかに地球全体の海面の温度が長期的に段々上がってきており、それ以外の気候条件には、短期的な変化はあっても、そのような長期的変化はないことがわかりました。これは、海水の表面温度が上がってきたことが強いハリケーンが増えていることに寄与している、という説を支持しています。熱帯地方の海面の表面温度が上がっている原因は人間活動で空気中の二酸化炭素が増えているせいだ、ということについては皆の意見が一致しています。
出典:Sciencexpress 1123560 http://physicsweb.org/article/news/10/3/13より。
7.ダイヤモンドより硬いもの(05/09/20)
ドイツの物理学者たちがダイヤモンドより硬い物質を創りました。バイロイト大学のNatalia Dubrovinskaiaたちが炭素-60(炭素原子が60個フットボールの形に結合した分子)からなる小片を20 ギガパスカル(約20万気圧)で圧縮し、同時に摂氏2800度まで熱したところ、ダイヤモンドより0.3%硬い物質ができました。この物質は、炭素原子でできているところはダイヤモンドと同じですが、ダイヤモンドが1個の炭素原子に4個の炭素原子が結合してできているのに対して、この物質はダイヤモンド結晶の微小な棒(直径5〜20ナノメーター、長さ1ミクロン)がかみ合わさってできています。この物質はバイロイトにあるバエルン地学研究所(Bayerisches Geoinstitut)の装置を使って創られました。この装置は25ギガパスカル、摂氏3000度まで出すことができます。
出典:http://physicsweb.org/article/news/9/8/16より。
6.10-21(1/1,000,000,000,000,000,000,000)グラムの微小質量が測定された(05/08/08)
前に科学ニュース1で、アットグラム(atto g = 10-18 g= {1兆 x 100万}分の1 g)という微小な質量が測られたというニュースをお伝えしましたが、今回はさらにその1000分の1であるゼプトグラムの質量が測られた、というニュースです。これはたんぱく質の分子1個くらいの質量です。この成果はカリフォルニア工科大学のMichael Roukesのグループが今年3月のアメリカ物理学会の大会で発表しました。
装置は長さ1ミクロン(1000分の1ミリ)、幅100ナノメートル(10分の1ミクロン)のシリコン・カーバイド(SiC)の棒の両端を固定したものです。これを自由に振動させると固有振動数100MHzで振動します。この装置が入った容器に質量を測ろうとする分子(この実験ではクセノン(Xe)や窒素の原子)を短時間吹き込むと、微量の分子が容器に入り、その棒の上に凝縮します。するとその分だけ棒の質量が増えるので、振動数が低くなります。その振動数の変化を鋭敏な電気回路で検出すると、それから棒に付いた分子の総質量がわかります。現段階で、この装置の感度は数ゼプトグラム(zept g = 10-21 g = {1兆 x 10億}分の1 g)とのことです。
このグループは以前同じ原理の微小装置でアットグラムの質量を測ったことがあるのですが、今回の装置はそのときよりさらに小さく、そのときのシリコン(Si)の棒の代わりにもっと硬いSiCの棒を使って高い振動数の装置をつくり、前回の1000分の1であるゼプトグラム単位の感度を得るのに成功しました。
このグループはこれを使えば色々な生物のたんぱく質の質量を測ることができるし、もっと小さいヨクトグラム(yocto g = 10-24 g = 1000分の1 zept g)が測れる装置をつくれば、似たような重さのたんぱく質を見分けることができ、例えば初期の癌の細胞の表面に分泌されるたんぱく質をひとつひとつ分けて測ることができるだろうと言っています。
出典:APS News, vol. 14, No.5 (2005) Mayより。
5.遠い恒星の惑星からの光(05/04/05)
天文学者の2チームが遠い恒星の惑星からの光を初めて直接観測しました。
ペガサス座にある、地球から153光年の距離にある恒星の惑星HD 209458bと、琴座にある、地球から489光年の距離にあるTrES-1という惑星からの光を、それぞれNASAのGoddard宇宙飛行センターのDrake Deming達とハーバード・スミソニアン天体物理学センターのDavid Charbonneau達が観測しました。
この二つの惑星は間接的な方法で発見されていました。すなわちHD 209458bはそれが周りを回ることで起こる中心の恒星の動揺、TrES-1はそれが前を通るとき光をさえぎるために起こる恒星の明るさの変化によってです。二つとも太陽系の木星と同じくらいの大きさですが、それぞれの中心の恒星までの距離が木星から太陽までの距離よりずっと近いので、恒星から強い光を受けて熱せられ、その結果強い赤外線を出しています。
今回、両チームはスピッツァー(Spitzer)宇宙望遠鏡を使い、惑星が地球から見て恒星の前にいるときと後ろにいるときの光を測りました。その差が惑星から出ている光です。その光のスペクトルからHD 209458bの温度は857℃、TrES-1は一寸低くて787℃であることがわかりました。
出典:http://physicsweb.org/article/news/9/3/15より。
4.“暗黒銀河”が見つかった?(05/03/06)
“暗黒銀河”とは暗黒物質だけで出来た銀河の仮名です。暗黒物質は宇宙全体の25%を占める物質で、その正体は未だ分っていません。それは電磁波を吸収も放出もしないので、光学望遠鏡でも電波望遠鏡でも見ることは出来ません。「暗黒」と呼ばれるのはそのためです。しかし質量を持っており周りの物体を引力で引き付けるので、その存在が分るのです。ちなみに、宇宙の中に普通の物質はわずか5%しかなく、残りの70%は暗黒エネルギーと呼ばれる、正体不明のものです。
最近の電波天文学の進歩によって、宇宙のいろいろな広い部分の水素原子の量が測れるようになりました。それを使って去年、イギリスのカーディフ(Cardif)大学の天文学者たちがジョデル・バンク天文台の望遠鏡で地球から5000万光年の距離にあるおとめ座星団を調べていて、太陽の1億倍の重さの水素原子の雲がある、光学望遠鏡では見えないVIRGOHI21という新しい銀河を見つけました。今度はそれを同じ大学のRobert Minchinたちとイタリヤ、フランス、オーストラリアの研究者たちが共同で詳しく調べたところ、その質量はその中にある水素原子の全質量の1000倍もあることがその回転速度からわかり、またもしそれが普通の銀河なら光学望遠鏡で見えるほど強い光を出すはずであることが分りました。似たようなものは前にも観測されたことがありますが、それらには星や近くの銀河のかけらが入っていました。しかし、VIRGOHI21には星は一つもありませんでした。このことはラ・パロマ(La Paloma)のアイザック・ニュートン(Isaac Newton)望遠鏡で確認されました。ですから、VIRGOHI21は暗黒物質だけでできた銀河かもしれません。
出典:http://physicsweb.org/article/news/9/2/14より。
3.“マイクロ万年筆”(05/02/07)
オランダの科学者達が“マイクロ万年筆”で1ミクロン(1000分の1ミリ)以下の模様を書いてそれを彫る(エッチする)ことに成功しました。この装置はTwente大学のMiko Elwenspoek氏とその仲間が開発したもので、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope, 略してAFM)の原理を基礎にしています。AFMはもともと原子の間に働く力を利用して物体の表面の研究をするために作られたものですが、今では表面の加工によく使われています。
今度作られた装置では、一端を固定した柄にインク溜めと先端に“ペン先”がついています。柄にはみぞが彫ってあり、そのみぞを通ってインク溜めから“ペン先”まで流れます。インクには1-オクトデカンエチオールを使いました。金の基盤の上に幅わずか0.5ミクロンの線を引くと、インクは金と反応してその上に安定な一分子層を作りました。また同じ装置で、市販のエッチング液を使って、クロミウムの表面に幅わずか0.3ミクロン・深さ14ナノメートル(10億分の1.4cm)のみぞを彫りました。
この実験では直線を描いたり彫ったりしたのですが、原理的にはどんな模様でも作ることができ、先端をもっと細くすればもっと細い線を彫ることもできます。
Elwenspoek達はこの装置は今までのAFMの原理を使った技術、たとえば“ディップ・ペン・石版”よりインクの量が多く、流れの制御が良くでき、周りの環境(例えば湿度)に影響されないという点で優れているといっています。チームは装置自身とインクの研究を更に進めることを計画しています。
出典:http://physicsweb.org/article/news/8/12/7より。
2.圧力で炭化水素(石油も?)の生成(04/09/25)
アメリカの科学者達が地球のマントルの上層部と同じ条件の下でメタンができることを初めて観測しました。普通、地球の内部で炭化水素は生物の分解でできると言われていますが、この実験はそれが無機化学反応でもできることを示しました。もしかすると地下には今まで考えられていたよりもっと多量の炭化水素(石油も?)があるかもしれません。
アメリカ、インディアナ大学のヘンリー・スコット(Henry Scot)がワシントンのカーネギー研究所、ハーバード大学、ローレンス・リバモア国立研究所の人たちと共同で、地殻に普通にある酸化鉄、炭酸カルシウムと水を一緒にして、1500℃まで熱しながら11ギガ・パスカル(およそ11万気圧)まで圧力をかけました。これはマントルの上層部とほぼ同じ条件です。圧力をかけるには端を平らにした2つのダイアモンドの間で締め付けました。この方法だとダイアモンドを透して材料を光学的に観測することができます。その結果、メタンが一番簡単に500℃、7ギガ・パスカル(およそ7万気圧)以下でできることが分かったのです。
出典:http://physicsweb.org/article/news/8/9/9より。
1.10-18(1/1,000,000,000,000,000,000)グラムの微小質量が測定された(04/03/17)
アメリカ・コーネル大学の物理学者ハロルド・クレイグヘッド(Harold Craighead)らが、超精密なナノ電気機械を使って、金の微粒子の”アット”(atto。10-18 = {1兆 x 100万}分の1)グラム単位の質量を測定しました。装置は長さ4ミクロン(1000分の4ミリ)、幅500ナノ(nano。10億分の1)メートルのシリコン箔でできた、一端が固定された振動板で、その上に物体を載せたときの振動の周期から、その物体の質量を出すものです。
これまでの最小記録は、去年アメリカ・オークリッジで測られた”フェムト”(femto。アットの1,000倍)グラム単位の質量でした。
彼らはこの装置で0.39アットグラムまで測れると予言しています。またこの装置をさらに小型化して、ビールス1個の質量である”ゼプト”(zept。アットのさら1,000分の1)グラム単位の質量まで測れるようにする希望を持っているとのことです。
出典:http://physicsweb.org/article/news/8/2/11#craigheadより。これは英文ですが、装置の図が載っています。
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「科学の公園」をつくる会